補足事項
資金残高キャッシュフローにおいては、支出キャッシュフローの補足事項を引き継ぎます。
収入は毎年継続的に発生する収入(以下、継続的収入)と臨時的に発生する収入(以下、臨時的収入)に分けて入力します。
継続的収入は、勤務先から支給される給与等の収入(以下、給与収入)のみとし、これから社会保険料、所得税(住民税含む)を引くことで、実際の手取額である可処分所得を計算します。
直近の給与収入と賃金カーブから将来の各年度の給与収入の推移を表す「給与カーブ」を作成します。 「給与カーブ」には、将来の世間の平均的な給与水準は考慮せず、現在の給与水準で評価した給与収入の推移を入力します。
一将来の各年度の可処分所得は、給与カーブを使用して、以下の式を用いて計算します。
(将来の可処分所得)=(将来の給与収入) − (社会保険料合計) − (所得税合計)
(将来の給与収入)=(給与カーブで入力した金額) × (収入ベース終価係数)
(収入ベース終価係数)={ 1 + (収入ベース上昇率) } × (前年度末の収入ベース終価係数)
(収入ベース上昇率)={ 1 + (物価上昇率) } × { 1 + (収入ベース調整率) } − 1
「収入ベース上昇率」とは、世間の平均的な給与水準の上昇率を表します。
「収入ベース調整率」とは、実質GDPや労働分配率(マクロレベル)の増減、賃金上昇の物価上昇に対する遅行性などを収入の上昇率に反映するための調整率です(入力画面から指定)。
なお、物価上昇率には、支出キャッシュフローで入力した@消費税率上昇の影響を除く物価上昇率(教育費除く)を使用します。
社会保険は、健康保険、介護保険、厚生年金、雇用保険で構成されるものとします。
健康保険料、介護保険料には、全国健康保険協会管掌健康保険の東京都の料率(折半後の料率)を参考に推計した金額を使用します。
厚生年金の保険料は、厚生年金保険の料率(一般の被保険者等、折半後の料率)を参考に推計した金額を使用します。
雇用保険は厚生労働省が告示する直近の保険料率(一般の事業、労働者負担分)を参考に推計した金額を使用します。
所得税は、所得税法の規定を参考に推計した金額を使用します。
住民税は、地方税法の規定を参考に推計した金額を使用します。住民税は所得税の一項目であるとして、所得税の合計額には住民税額を含めて表示しています。
夫、妻のどちらか一方は、配偶者控除または配偶者特別控除の適用を各年度ごとに設定することが可能です。 ただし、配偶者控除は配偶者の給与所得が所定の額を超えた場合、また、配偶者特別控除は本人の給与所得が所定の額を超えた場合に、自動的に適用外としてキャッシュフロー内で計算を行います。
基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除、社会保険料控除の4つを除く所得控除(例えば、生命保険料控除、扶養控除など)を取得する場合は、これらの合計額を「その他控除額」として、 各年度ごとに所得税、住民税それぞれに分けて入力します。
夫、妻の方それぞれについて健康保険・厚生年金の被保険者であるかを各年度ごとに設定するすることが可能です。 各年度で最低でも夫婦のどちらか一人が健康保険・厚生年金の被保険者であることを前提とします。また、被保険者でない方は、配偶者の方の被扶養者であることを前提としています。
夫、妻の方それぞれについて雇用保険の被保険者であるかを各年度ごとに設定するすることが可能です。
健康保険、厚生年金の保険料の計算で用いる標準報酬月額、標準賞与額に相当する金額を推定するために、「1年間の賞与支給回数」、「給与収入に占める賞与の割合」を入力します。
社会保険料率を調整するための調整率として、将来の各年度の「社会保険料調整率」を入力します。 給与収入にこの「社会保険料調整率」を掛けて得られた金額を、社会保険料の合計金額に追加します。
所得税率を調整するための調整率として、将来の各年度の「所得税調整率」を入力します。 所得税の課税所得金額にこの「所得税調整率」を掛けて得られた金額を、所得税の合計金額に追加します。
所得税額を調整するための調整額として、将来の各年度の「所得税調整額」を入力します。この「所得税調整額」を所得税の合計金額に直接追加します。
給与水準が上がった場合、実質的な給与収入は増えていなくても、名目の給与収入が増えることで所得税の税率が上昇します。 この一種の増税効果を残すか残さないか入力画面で指定することが可能です。 この増税効果を残さない設定にした場合、給与所得控除額、所得控除額(基礎控除額、配偶者控除額、「その他控除額」)、所得税の税率に対応する課税総所得金額、配偶者特別控除を受ける人の所得上限、「所得税調整額」に将来の給与水準を反映する調整を加えます。
社会保険料を計算する際に計算過程で標準報酬月額・標準賞与額に相当する金額を使用しています。 これらの上限額に将来の給与水準に合わせる調整を加えるかを入力画面で指定することが可能です。
健康保険、厚生年金の被保険者でなくても、給与収入が130万円(上記の増税効果を残さない設定にした場合はこの額に将来の給与水準を反映した金額)を超えたときに自動的にこれらの被保険者として計算を行うように入力画面で指定することが可能です。
雇用保険の被保険者でなくても、給与収入が指定した金額(上記の増税効果を残さない設定にした場合はこの額に将来の給与水準を反映した金額)を超えたときに自動的にこの被保険者として計算を行うように入力画面で指定することが可能です。雇用保険の加入義務の条件には、給与収入に関する規定はありませんが、便宜的に給与収入の条件を追加しています。
臨時的収入は、一時的収入、期間的収入、期間的収入(逓増型)のいずれかの形式で入力します。
一時的収入では、入力画面で入力した金額が指定した年度に発生します。 入力画面で別途指定した場合、将来の実際の収入額は支出キャッシュフローで入力した@消費税率上昇の影響を除く物価上昇率(教育費除く)で調整を加えた金額となります。
期間的収入では、入力画面で入力した金額が指定した期間に毎年発生します。 入力画面で別途指定した場合、将来の実際の収入額は@消費税率上昇の影響を除く物価上昇率(教育費除く)で調整を加えた金額となります。
期間的収入(逓増型)では、入力画面で入力した金額が指定した期間の開始年度に発生し、その後の期間は指定した上昇率で増加した金額が毎年発生します。
キャッシュフローの開始年度の期首時点の資金残高を指定します。現金、および、将来確実に現金化して生活資金として利用可能な資産(預金や証券など)残高を入力します。
資金残高は総体(ポートフォリオ)としては低リスク資産であることを前提として、 キャッシュフロー期間の2年目以降の資金残高の運用利回りには、物価上昇率と「収入ベース上昇率」の平均を推定値として使用します。
(運用利回り)={ (物価上昇率) + (収入ベース上昇率) } / 2
なお、物価上昇率には、支出キャッシュフローで入力した@消費税率上昇の影響を除く物価上昇率(教育費除く)を使用します。
将来に渡っての資金残高の目標とする金額として「残高目標」を設定します。
資金残高が残高目標に達しない場合に自動的に借り入れを実行してキャッシュフローの改善を試みる機能(以下、緊急時借入)を、キャッシュフローの条件に追加することが可能です。
資金残高がマイナスとなった場合の残高の増加率を別途指定することが可能です。 個人の信用が急激に悪化して、資金残高をプラスに改善させるのが難しくなることをキャッシュフローで表現できる場合があります。 特に指定がない場合は、資金残高がマイナスとなった場合の残高の増加率にはゼロを使用します。
住宅ローンの将来の変動金利の店頭金利は、資金残高キャッシュフロー以降の分析レポートでは、資金残高の「運用利回り」に支出キャッシュフローで入力した一定の上乗せ分を加えた金利になるものとします。 また、キャッシュフローの計算期間を過ぎた後も変動金利による返済が残る場合、その残りの期間の変動金利の店頭金利は、キャッシュフロー最終年度の資金残高の「運用利回り」に支出キャッシュフローで入力した一定の上乗せ分を加えた金利になるものとします。